| 蟷螂 (2007-05-23 20:30:00) |
| 行けども、行けども、葦原の中である。きちきちきち、という音とともに政勝の足元から精霊飛蝗が軽やかな薄い羽を広げ飛んで行く。蟷螂が降りたった辺りにはただ、ひりひりと蟋蟀の鳴く声がする。日は西にかたぶき始... |
| 悪童丸 (2007-05-23 20:25:00) |
| 政勝が城の門を潜ると、白河澄明(とうみょう)が居た。政勝に気が付くと、澄明はずううっと側に寄って来た。「妖かしの者なぞに情をかけて…。かのと様と百日は交わりをなさらぬように」と、声を潜めた。政勝は内心... |
| 白峰大神・・白蛇抄第3話 (2007-05-23 20:20:00) |
| 白銅が鏑木の部屋にいると、伝えられて澄明は部屋の戸を開いた。 そこに白銅が、じっと立っていた。 が、その足元に黒い醜い者がいるのが見えた。 「白銅!餓鬼ではないか?」 思わず澄明は叫んだ。 「見えるか... |
| 七日七夜・・・白蛇抄第4話 (2007-05-23 20:10:00) |
| 只の死体でなかった。 内伏した死体のその髪が金色であった。 「面妖な」 そう呟いて近づいた如月童子は、 死体が女と判ると顔を見たくなった。 話しに聞く外っ国の紅毛人である。 思いきり蹴繰りその身体を転... |
| 邪淫の果て・・白蛇抄第5話 (2007-05-23 20:05:00) |
| 「ああ・・・まるで、犬のようじゃ・・・」 陽道に手をつかされ織絵は四つん這いになった。 その織絵の後ろから陽道が己の物を突き入れてくるのである。 「ならば、わう、と、言うてみい」 「ああ」 好きな様に... |
| 邪宗の双神・・白蛇抄第6話 (2007-05-23 20:00:00) |
| 「することが無いの」 ニコニコと笑いながら八代神は、白峰に声をかけた。 が、白峰は応える気力も失せている。 天空界に引き戻されるように上がって来ると、 白峰は十日ほどどっと、深い眠りの狭間に落ちた。 ... |
| 宿業 ―白蛇抄― (2007-05-23 19:45:00) |
| 佐奈と朋世からこの物語は始まってゆく。 佐奈の指先が細かく震えていた。 佐奈のしでかした事に脅える眼のまま、 少女は僅かに身体を動かした。 男、いや、少年が もう自分を押さえ込むことはないと判ると 少... |
| ―井戸の柊次郎― 其の一 (2007-05-23 19:40:00) |
| どちらも譲らないまま、澄明いや、ひのえと白銅に決済はゆだねられた。 白銅の父、雅は白銅を養子に出すという。 鼎の事に恩義を感じているせいでもあるが、正眼のところには後がない。 餓鬼に落ちて助かった事... |
| 井戸の柊二郎 其の二 (2007-05-23 19:35:00) |
| 井戸の柊二郎をふさぎこんだ二人は屋敷を見ていた。 「白銅のいうとおりでしたね」 ひのえは柊二郎と比佐のさまをいった。 「おもうよりはやかったの」 「ええ」 だが、これで井戸の柊二郎の諦念が定まることで... |
| 法祥 回向せしむるかや? (2007-05-23 19:30:00) |
| 謎の多い事件が 片付いたを見届けると、 法祥はこの地を後にして行くつもりであった。 立ち寄らなかった家々を托鉢に巡り歩き 夕餉らしき物にありつくと、 件のお堂にて、寝入るつもりだった。 明日も晴れるだ... |
| 沼の神 (2007-05-23 19:25:00) |
| 直垂の端が水にしみてゆく。 澄明はふいと上をみた。 足元は沼の水が湧き出るほとり。 なのに、なぜか澄明は上を見た。 十七の春だった。 沼と呼ぶにはあまりにも清浄であった。 が、ここはやはり湿地帯の中で... |
| ―理周― (2007-05-23 19:20:00) |
| 笙をよくする。 ひちりきも横笛にもひいでていた。 理周の住まいは寺の敷地の端の小さな小屋である。 本来、寺男なるものが住まいする小屋に 女性(にょしょう)である理周はくらしていた。 理周が洸円寺の外れ... |
| ―伊勢の姫君・―白蛇抄・第13話― (2007-05-23 19:16:00) |
| 主膳は今しがたも姫の顔を思い返していた。 伊勢の姫君、かなえ様におうたのは昨年である。 と、言ってももう年が明けようという冬の暮れであった。 新年を迎える日に、二十年振りの奥の間への礼賛がかなう と... |
| ・・・おんの子(鬼の子)・・・ (2007-05-23 19:15:00) |
| 伽羅は、悪童丸がどこに出かけ、 誰に会いに行っていたかを知っていたが何も聞こうとしなかった。 もうふたと瀬もすると悪童丸は十二になる。 鬼の男子は十二になると、一人立ちをする。 自分で居を構え、自分独... |